競馬の血統で重要なサイアーラインとは?3大始祖と重要な4大系統

血統

ブラッド・スポーツと呼ばれる競馬は、血統が非常に重要です。

そのため、生産者や馬主だけでなく一般の競馬ファンの中でもレース展開予想の重要な予想ファクターとして血統を重視している方も少なくありません。

血統評論家が数多く存在することからも血統の重要性が伺えますよね。

「サイアーライン」とは、父方の系図のことを指します。中でも3大始祖と呼ばれる馬は、血統についての知識を深めたいと考えている方は知っておいて損はないのではないでしょうか?

この気ではそんな3大始祖についてや、競馬予想を行う際の参考にできる4大系統についてもご紹介していきたいと思います。

競馬の血統に興味のある方は是非記事をチェックしてみてください。

サイアーラインとは?

サイアーラインはメールラインとも呼ばれ、馬の父方の系図のことです。父、父の父、3代父のように血統において父方に注目したのがサイアーラインです。

母系にのみ注目した系図はファミリーラインやメアーラインと呼ばれ、いずれも起点となっている馬の名前をとって「○○系」と呼ばれます。

サイアーラインは遺伝的な面を見ても、代を経るごとに似ている部分が少なくなっていくだけでなく、学術的な研究がほとんど進んでいないため、能力に対する実際の影響や信憑性については完全に解明されていません。

また、サイアーラインは公式に決まっているものではないということも大きな特徴ではないでしょうか。

子孫が大きな発展を見せた種牡馬を起点とし、その子孫をまとめたものがサイアーラインです。そのため、時代や分類した人にってサイアーラインは大きく変わっていきます。

サイアーラインについて考えていく上ではまずこのようなことをしっかりと把握しておくことも大切だと言えるでしょう。

3大始祖について

現代では日本の他にもフランスやイギリス、アメリカ、韓国、インド、ドバイなど様々な国で競馬が行われていますが、世界中で活躍しているサラブレッドの父系の血統をたどると、すべて3頭の馬にさかのぼります。

推定1680年生まれのバイアリーターク、推定1700年生まれのダーレーアラビアン、推定1724年生まれのゴドルフィンアラビアン(ゴドルフィンバルブと呼ばれることも)、この3頭の馬を3大始祖といいます。

3大始祖というとどの馬の子孫も現在活躍しているように思えるかもしれませんが、今主流となっているのはほとんどがダーレーアラビアンを先祖にもつ系統です。

バイアリータークはトウカイテイオーとメジロマックイーンが日本では知られていますが、現在は勢いがなくなってしまっています。

ゴドルフィンアラビアンはマッチェム系が知られており、カルストンライトオ、サニングデールが知られています。

ダーレーアラビアン

ダーレーアラビアンは当時、アラブの族長からイギリス領事が買い取ってイギリスに送ったとされている馬です。

ダーレーアラビアンが活気づくことになったのが、ダーレーアラビアンから数えて5代目のエクリプスからです。

エクリプスと言えば競馬好きなら知っている、伝説として語られている馬ですよね。

6、7歳頃にレースにでて26勝全勝という驚異の成績を残した馬で、「Eclipse first, the rest nowhere.(唯一抜きん出て並ぶ者なし)」というカッコイイことわざまであるくらいです。このエクリプスはかなり貴重の激しい馬であったことでも知られています。

現在はダーレーアラビアンが主流になっていますが、19世紀始めまではバイアリーターク系と互角の勢力でした。

しかしその後、1881年に誕生したセントサイモンが大きな原動力となったことでダーレーアラビアン系が勢力を伸ばし始めます。

ノーザンダンサー系、ネアルコ系、ナスルーラ系、ファラリス系、ゲインズボロー系、ネイティヴダンサー系、などが広く知られています。

中でも、セントサイモン以上の大きな血統革命を巻き起こしたのが20世紀なかばに登場したネアルコです。ダーレーアラビアンが現在90%以上もの占有率を誇る父系となったのはこのネアルコによるものでしょう。

日本競馬史を語るのに欠かすことができないサンデーサイレンスもネアルコの流れをくんだ馬です。

バイアリーターク

バイアリータークはイギリス対トルコの戦争の際、イギリスのロバート・バイアリー大尉が捕獲した馬です。

種牡馬としては全く優秀ではなく、すぐにでも消えてしまいそうでしたが、5代目に登場したヘロドによって血統が続いていくこととなります。

ヘロド自身は故障があったため競走成績は目立ったものは残っていないものの、種牡馬として目覚ましい活躍を見せ、エクリプスと並ぶとされるほど素晴らしい成績を残しました。

しかしながら19世紀後半になると今までの勢いが嘘のように急激に衰退していきます。

パーソロンが日本に輸入され、シンボリルドルフとメジロアサマによって受け継がれたことでトウカイテイオーやメジロマックイーンが知られていますが、上記でもご紹介のように現在では勢いがなくなってしまっています。

日本だけでなく世界でも同様で、バイアリーターク系の系統は大きな復活の兆しはなく、中にはほぼ消滅状態の系統もあります。

ゴドルフィンアラビアン

北アフリカで生まれたとされるゴドルフィンアラビアンは、モロッコ皇帝によってフランスのルイ14世に献上されたものの、その後なぜかパリの町中で散水車をひかされていたなど不遇な境遇の馬だったと言われています。

ダーレーアラビアンが現在主流となっていますが、その発展のきっかけになったとも言えるエクリプスの母父がゴドルフィンアラビアンです。

ゴドルフィンアラビアンから3代目のマッチェムによって大きく発展し、マッチェム自身は競走馬としては成績は残せなかったものの、優れた産駒や競走馬が次々生まれました。

アメリカで歴史的名馬として知られるマンノウォーを父に持つ持込馬の月友が日本で活躍したことから、マンノウォーの名は日本でも知られています。

4大系統について

現代の競馬を語る上で重要となるのは3大始祖ではなく、下記の4大系統と呼ばれる系統です。

  • ノーザンダンサー系
  • ミスタープロスペクター系
  • ナスルーラ系
  • ターントゥ系

ノーザンダンサー系

中でも最大派閥と言われているのが「ノーザンダンサー系」で、今の競馬を語る上では欠かすことができない血統です。

粘り強いスタミナを持った馬が多く、主にヨーロッパではやっている血です。

ナスルーラ系

ナスルーラ系の発展は国によっても異なりますが、特にアメリカに馴染んでいる血で、三冠馬のシアトルスルーを輩出しています。

ミスタープロスペクター系

ミスタープロスペクター系はアメリカのダートで活躍している血で、馬力のある馬が多いです。

日本ではフォーティーナイナー系(スイープトウショウやアドマイヤムーン)が知られています。

ターントゥ系

ターントゥ系と言えばまず名前が挙がるのがサンデーサイレンスです。

日本の芝に非常に合っており、グラスワンダーやシンボリクリスエスの先祖であるロベルト、ニホンピロウイナーもターントゥ系です。

まとめ

競馬の血統で重要なサイアーラインについてご紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか?

サイアーラインをさかのぼると3大始祖に行き当たりますが、現在活躍しているのはほとんどがダーレーアラビアンの血です。

あまりに代をさかのぼると競馬のレース予想に活かすことは難しくなりますが、血統好きな人は思わぬ共通点を見つけたりと、楽しむことができるのではないでしょうか。