フランスの凱旋門賞を始めとした欧州競馬は、日本からも多くの強豪馬が出走する代表的なレースが数多くあります。世界で最も権威が高いと言われている凱旋門賞には、これまでの数多くの日本馬が出走していますが、未だに1着を獲得した事はありません。それだけ難易度が高く、敷居が高い欧州競馬。
そんな欧州競馬ではどのような血統の馬が勝ち続けているのか知っていますか?この記事では欧州競馬で猛威を奮っている血統、有名な種牡馬の特徴などと同時に合わせて紹介していきたいと思います。欧州競馬に興味があるという方は知っておいて損なしの情報となっていますので、必ずチェックしておきましょう。
イギリス競馬の血統
一口に欧州競馬と言ってもその国によって血統や有名な種牡馬は異なります。という訳でヨーロッパの中でも特に競馬に力を入れている国の血統事情から見ていきます。
まずは近代競馬発祥の地とも言われているイギリス。イギリスで活躍している代表的な種牡馬を紹介していきます。
ガリレオ
欧州競馬を語る上で絶対に外す事ができないのがガリレオです。アイルランド産まれの競走馬で、現役時代は2001年にダービー・アイリッシュダービーと2か国ダービー制覇を成し遂げ、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスとアイリッシュチャンピオンステークスではファンタスティックライトとの名勝負が有名です。
父はサドラーズウェルズ、母は凱旋門賞馬アーバンシーという世界でも屈指の超良血馬として誕生。デビュー前からその血統で注目を集め、デビューしてからもその血統に恥じることのない活躍を魅せます。
種牡馬生活がスタートしたのは2002年から。2005年に初年度産駒がデビューするとその年にいきなり4頭のG1馬を輩出。その後も勢いは留まる事を知らず、初年度産駒から15世代連続でG1勝ち馬を送り出しています。2010年から10年連続で英愛リーディングサイアーを獲得し、2016年には2位に3倍近い数字を出して圧倒的な1位になるなど無双状態。種付け料も破格で3600万円であると報告された事もあります。
数多くの代表的な産駒が誕生していますが、代表馬は英チャンピオンSなど10のG1を含む14戦無敗のフランケルです。G1勝ち馬頭数は2019年に80頭の大台に乗るなど、現在世界中で最も猛威を奮っている種牡馬であると言っても過言ではない活躍を見せている競争馬です。
フランケル
イギリスでもう1頭、絶対に見過ごせない種牡馬がいます。それはフランケル。上記項目でも言ったように、フランケルはガリレオの産駒であり、その血筋が脈々と受け継がれている大種牡馬となった馬です。
フランケルの凄さは圧倒的な成績にあります。生涯成績は14戦14勝。
- 2010年のデューハーストステークス
- 2011年の2000ギニー、セントジェームズパレスステークス、サセックスステークス、クイーンエリザベス2世ステークス
- 2012年のロッキンジステークス、クイーンアンステークス、サセックスステークス、インターナショナルステークス、チャンピオンステークス
数多くの歴史あるレースで圧倒的な走りを見せ勝利。種牡馬となってからも数多くの代表的な産駒を生み出しており、「高い種付け料を支払った生産者にとって、競走馬市場にフランケル産駒が多く流れるのは好ましくない」との考えから、あまり多くの種付けをしない事でも知られています。
しかしながら種付けを130頭に設定して行なわれた初年度でもG1勝利馬が38頭。G1優勝馬の母馬が26頭になるなど、種牡馬としても優秀な血統を持っている事が既に確認されています。2018年から種付け料は17万5000ポンド(2018年のレートで約2600万円)に引き上げられており、今後実績をあげていく事でますますこの価格は上昇していく事が予想されています。
日本で活躍した馬も産駒にはおり、阪神ジュベナイルフィリーズや優駿牝馬を制したソウルスターリングはフランケル産駒。他にも安田記念やフェブラリーステークスを制したモズアスコットもフランケル産駒です。日本の競馬界にも多大な影響を与えている大種牡馬であると言えますね。
フランス競馬の血統
ヨーロッパを代表する競馬主要国であるとされているフランス。フランス競馬と言えば何と言っても世界一のレースである凱旋門賞が有名ですよね。そんなフランスにも、数多くの代表的な種牡馬がいます。特に有名な血統を紹介していきましょう。
ルアーヴル
ルアーヴルの現役時代は2009年の仏ダービー(ジョッキークラブ賞。G1。芝2100メートル)1着などの6戦4勝という成績でしたが、卓越したスピードが評価され種牡馬となります。2010年から種牡馬となり、初年度産駒のアヴニールセルタンがフランス牝馬クラシック二冠を達成するなど大活躍。
2016年にはラクレソニエールが無敗のままフランス牝馬クラシック二冠を達成した事で更に評価を上げます。種付け料は最初に比べると9倍の価値になっているなど、最近になって急速に評価を高めている種牡馬であると言えます。
ナサニエル
ナサニエルは現役時代は3歳でキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS(G1・イギリス。芝2400メートル)を制覇し、古馬になってからもエクリプスS(G1・イギリス。芝2010メートル)を勝利するなど、大舞台で活躍するタイプの馬でした。
代表産駒は何と言ってもエネイブル。現役最強馬の呼び声も高いエネイブルの主な勝ち鞍は何と言っても2017年と2018年の凱旋門賞でしょう。史上初の三連覇を目指した凱旋門賞では惜しくも2着でしたが、それでもエネイブルの評価は変わりません。
- GI オークス 2017年
- GI アイリッシュオークス 2017年
- GI KGVI & QES 2017,2019年
- GI ヨークシャーオークス 2017,2019年
- GI 凱旋門賞 2017,2018年
- GI ブリーダーズカップ・ターフ 2018年
- GI エクリプスステークス 2019年
産駒にエネイブルがいるという事だけで大種牡馬となったナサニエル。今後の活躍も期待されている馬です。
イタリア競馬の血統
イタリアはヨーロッパの中ではイギリスとフランスに続く人気を誇っている国ですが、上記2つの国に比べるとやや劣る面はあります。2019年に唯一のG1競争であったレースがG2に降格してしまった為、現在は国内で開催されているG1はありません。
イタリア競馬の代表的な血統と言えばドンという競争馬です。競走馬時代にはフランスで活躍し、プール・デッセ・デ・プーラン(フランス2000ギニー)で優勝するなど重賞を3勝します。
アイルランドで種牡馬となり1973年には何と日本へ輸出。その後日本では、サクラシンゲキやダイシンフブキなどの名馬を輩出し、1984年に死亡します。
まとめ
欧州競馬の代表的な血統について紹介してきましたが参考になりましたか?
特に覚えておかないといけない馬はガリレオ、フランケル、ルアーヴルの3頭ではないでしょうか。ナサニエルはエネイブルの活躍で一気に評価を上げたものの、アーモンドアイの活躍で一気に名前をあげたロードカナロアのように、1頭ではまだ評価は定まりません。今後の産駒の活躍次第では一気に評価をあげ、ヨーロッパを代表する血統になる可能性も秘めていることは間違いありません。
欧州で開催されるレースは日本馬とは合わないといわれることもあります。それ位ヨーロッパの馬はタフで、スタミナがある力強い馬がとても多いです。いまだ果たせない凱旋門賞制覇の鍵は欧州競馬の代表的な血統の中に隠れているという事もあるかもしれませんね。